Bustle Pannier Crinoline

バッスル・パニエ・クリノリン

りょしばきの中の人対談

今回は、赤い怪獣のアイコンでおなじみのツイッターアカウント「りょしばき」にログインしてツイートしている「りょしばきの中の人」からヒロさんとれなさん(いずれも仮名)をお招きして、オンライン通話で対談を行っていただきました。同じアカウントを共有していながらお互いの顔も名前も何も知らない二人にとって、「りょしばき」でツイートするということの意味は。どのような想いで「りょしばき」を作り上げているのか。様々に語ってもらいました。

 

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ヒロ「初めまして。」

 

れな「初めまして。宜しくお願いします。」

 

ヒロ「うわぁ緊張する…お話するのは初めてですもんね。」

 

れな「連絡先すら知らないし…」

 

ヒロ「不思議な感じですよね。りょしばきの中の人にはどうやってなったんですか?」

 

れな「事務局からDMが来ました。」

 

ヒロ「その時すでに自分のアカウントが別にあったってことですか?」

 

れな「はい。りょしばきは私の裏垢です。」

 

ヒロ「あ、そうなんですか!全然俺と違いますね。」

 

れな「そちらは?」

 

ヒロ「俺は友達からの紹介で。」

 

れな「え、リアルの友達ですか?」

 

ヒロ「はい。バイト紹介されるみたいな感じで。面接受けて採用されました。」

 

れな「うそ!そういうパターンもあるんだ…」

 

ヒロ「俺も今同じ感想を持ってますよ。事務局、DMでスカウトとかしてたんですね…」

 

れな「他の人のこと全然知らされないですもんね。」

 

ヒロ「そもそも中の人が何人いるかすらハッキリとは知らないんですけど、れなさん知ってます?」

 

れな「いえ、でも私以外は一番よくツイートする人が1人いて、あとはいてもせいぜい1人か2人くらいだと思ってます。」

 

ヒロ「俺も同じです!やっぱ何となくそれは感じますよね!」

 

れな「この二人が対談に呼ばれたってことは、ほぼ私たち2人がメインなんじゃないですか?だから予想は当たってたんだろうって思ってます。」

 

ヒロ「れなさんのツイートはたぶん判別できてる気がします。」

 

れな「女は私しかいないんじゃないですか?知らないですけど。」

 

ヒロ「今のお答えで、判別できてるってさらに確信しました。これすごく興味あるんですけど、れなさんは事務局から『こういう方向でツイートするように』みたいなのって言われてるんですか?」

 

れな「ガイドラインありますよね。ヒロさんは受け取ってないんですか?」

 

ヒロ「あ、ガイドラインは俺ももらってますけど、それ以外で。れなさん向けに特化したインストラクションみたいなの、あったのかなって。」

 

れな「事務局からの指示が他の人とどう違うかはわからないですけど、私の場合はガイドライン以外は特に事務局からの指示はないです。ヒロさんはあるんですか?」

 

ヒロ「ないですよ。でも、これ多分れなさんのツイートだろうなっていう一連のツイートは、なんとなく一定の方向性があるような気がして。」

 

れな「ヒロさんが思っている一連のツイートっていうのが実際に私のツイートなのかはわからないですけど、結構そこは悩んだところです。私はメインのアカウントでは縛りとか方向性とかなく思いのままやってるんですけど、りょしばきはすごく特殊な形ということもあって、自然とコンセプト感の強いアカウントになっていったと思います。」

 

ヒロ「それは、こういうツイートをしていこうと意識して考えるってことですか?」

 

れな「ツイート内容をよく練るとか、読み手の受け止めについて何か一定の狙いがあるというというよりは、『りょしばきではこういう感じのこと言おう』っていうふわっとした枠組みというか、ノリみたいなものが頭の中に何となくありますね。」

 

ヒロ「なるほど。それは事務局から言われたことではなく、自分の裏垢としてのスタイルとしてできていったということですね。」

 

れな「ただの裏垢と違うのは、他の人のりょしばきツイートを見るうちに自分の中にりょしばき像みたいなものが形成されるので、そこにこういう色のツイートが紛れ込んできたら面白いんじゃないかっていう感覚でやってるってことですかね。」

 

ヒロ「ああ…じゃあ他の中の人と合わせるというよりはむしろそこからの逸脱というか意外性を意識しているような…」

 

れな「いや、うーん、なんていうか、メインの垢では縛られるのは嫌だって思って自由に呟いてるんですけど、りょしばきは逆にスタイルがあった方が楽しめるという感覚があるんですよね。一連のりょしばきツイートの流れに対して、私なりの貢献ができるとしたらこういうことかなっていうのをツイートしていくうちに、自然と方向性ができたって感じです。」

 

ヒロ「なるほど、意外性自体を目指してるんじゃなくて、自分の持ってる個性のうち何を投影したら一番面白くなるかっていう考え方があって、その結果なわけですね。」

 

れな「でも意外と悩みますよ。やっぱり女っていうのをどうするかってのがあって。他の人がかなり男の欲望むき出しじゃないですか。」

 

ヒロ「あー俺はそうですね…。」

 

れな「でも性欲と関係ないツイートもいっぱいありますよね?私も同じように性別関係ないツイートをしたっていいし、なんなら男のふりしてツイートするって選択肢もあるわけですけど、その辺りどういうスタンス取るかってのは一時期かなりありました。たぶん他の人は男を前面に出してもいいし出さなくてもいいしっていうスタイルでおそらく自由にツイートしてる一方で、私は女を前面に出すツイートしかしないのかって。」

 

ヒロ「さっき事務局から何かディレクション受けてるのかってきいたのはまさにそれなんですよ。『あなたの場合は女性っていうのが伝わるようなツイートをしてね』みたいなのがあったのかと。」

 

れな「他の人から言われてそうしているわけではないです。実際、性別関係ないツイートも少しはしてますし。でも多分、女性を前に出したツイートをして、それがりょしばきとして他の人のツイートの流れの一部として発信されたのを遡って見た時に、面白いって感じたんだと思います。そういう印象が積み重なって、自分からあえてそうするようになっちゃったんだと思います。」

 

ヒロ「じゃああれはれなさん自身のディレクションなんですね…」

 

れな「りょしばきの性欲関連のツイートはだいたいヒロさんですか?」

 

ヒロ「うーん、俺じゃないのもあると思います。でも少なくとも全体的に一番頻繁にツイートしているのは俺ですよ。」

 

れな「よく架乃ゆらについてのツイートありますけど、あれもヒロさんですか?」

 

ヒロ「架乃さんは基本俺ですね。かのゆらチャレンジも全部俺です。」

 

れな「たまに急に変なツイート出る時ありますよね。私的には『あーこれいつもの人じゃないっぽいな』って勝手に思ってます。いつもの人ってヒロさんのことですけど。」

 

ヒロ「自分でもなくれなさんっぽくもないツイートは、なんか事務局の人が思いつきで投稿してるんじゃないかって勝手に思ってます。」

 

れな「そうかもしれませんね。」

 

ヒロ「そういえば以前、俺がやさぐれツイートした後に、ガイドラインちゃんと読めみたいなツイートされたことがあったんですけど。」

 

れな「されたって、りょしばきアカウントからですか?」

 

ヒロ「はい。あれが俺の記憶する中で唯一の『中の人同士のやりとり』だと思うんで、めちゃくちゃビビったんですよ。あれれなさんですよね?違います?」

 

れな「あー!なんか思い出しました。たぶん私です。なんか毒吐いてる人がいて、りょしばきらしくない毒の吐き方だなと思ったんですよ。あれヒロさんですか?私いつもの人じゃない人ってイメージでした。」

 

ヒロ「あれ俺ですよ。あと、そのれなさんのツイートに付いたリプのやりとりがあったじゃないですか。これ返信してるのれなさんじゃないですよね?」

 

れな「そうそう、私のツイートへのリプなのに、私じゃない人が勝手にリプ返していて、オイオイと思ったんですけど、これヒロさんじゃなかったんですね?」

 

ヒロ「俺じゃないです。やっぱ第三の中の人がいますね。」

 

れな「事務局かも。」

 

ヒロ「中の人同士で会話してはいけないっていうガイドラインはないけど、なんとなくそれはしないっていう不文律みたいなのあるような気がしてたんで、あれはかなりインパクトありました。『“ガイドライン”とか言っちゃっていいんだ?!』て。」

 

れな「でも、あのことで別に事務局から怒られてはいないですよ。」

 

ヒロ「りょしばきという一つの人格をみんなで作り上げるっていう感覚が一応俺にはあったんですけど、れなさんはあまりなかったですか?」

 

れな「うーん、りょしばきという流れの中に、自分の差し色で貢献するっていう感覚なので、流れは大事にしつつ、そこに溶け込もうっていうのはあまりなかったかな。一つの人格か…私は人格は一つじゃない方が面白いと思ってやってますね。人格の定義にもよるけど。」

 

ヒロ「あ、そうなんですね!興味深い。」

 

れな「そもそも中の人ってどんどん入れ替わりうるわけだし、入れ替わってないとしても、結局私たち自身が変わっていくじゃないですか。年齢とか環境とか…」

 

ヒロ「あぁそうですね…れなさんのお歳も職業も知らないですけど、たとえば学生から勤め人になったらツイートも変わってくるでしょうし。」

 

れな「一人の人間でツイートしてたとしても時の流れや経験にしたがって雰囲気や属性が変わっていくわけだから、ましてやりょしばきアカウントの性質が流動的なのは当然だと思ってます。私が突然マッチョなツイートし始めたとしても全然問題ないって思ってるし。」

 

ヒロ「もちろん、こうあるべきっていう縛りで窮屈になることは全く良いとは思わないですけど、結果として自然とできあがってくる『りょしばき性』みたいなものを楽しんでいるっていうのは俺はあるかなぁ。枠にハマっていくみたいな不自由なものというよりは、これまで積みあがったものを面白がるっていう前向きな意味で。」

 

れな「そうですか。ヒロさんはりょしばき以外にアカウント持っているんですか?もし答えたくなかったら答えなくてもいいですけど。」

 

ヒロ「俺はりょしばきだけですね。」

 

れな「じゃあそれも情熱の注ぎ方として違いを生んでるかも。私にとってはりょしばきは裏垢のひとつって感じなので。片手間でやってるっていうと言いすぎなんですけど、いい意味で肩の力抜けてるのかなって。さっき言ってた『りょしばき性』みたいなのもほとんど意識しないし。」

 

ヒロ「『りょしばき性』を意識しない人も混ざっているということ自体が『りょしばき性』ってことでもあるんですけどね。」

 

れな「それは厳密にいえばそうなんでしょうけど、実態としてほぼヒロさんのツイートなんだとしたら、それは『ヒロさん性プラスアルファ』くらいの感じかもしれないですよね。それがツイートの8割なのか6割なのかとか、全然わからないですけど。」

 

ヒロ「いやいやいや…それはないですよ!割合はともかく、俺がりょしばきでやっているツイートは全然俺の素ではないですからね。一人称だって、りょしばきではできるだけ『僕』を使ってますけど、実際には『俺』ですし。」

 

れな「あ、たしかに。じゃ、ヒロさんとしては、りょしばきを演じてるみたいな感覚なんですか?ある種のなりきりアカウントみたいな。」

 

ヒロ「演じてる、か…?いや演じてるっていう感覚なのかなぁ、でもそれに近い感じはあるのかも、素じゃないって意味では。りょしばきという皮を被って遊んでるみたいな感じですかね。」

 

れな「赤い怪獣の着ぐるみw」

 

ヒロ「そうですね。怪獣の皮ですねw」

 

れな「実際ヒロさんはエロいことばっかり考えているんですか?」

 

ヒロ「性欲は普通にありますけど、別に一日中『あーおっぱい揉みてー』って思ってるわけじゃないですよ?日常の中で「あ、コレりょしばきのツイートになるな」って思うことが、なにげない事を極端に性欲に振り切った視点から解釈したものだったりとか、そういう事ですね。」

 

れな「最初は日常ツイートみたいな感じだったんですよね?」

 

ヒロ「たぶんそうだと思います。そういう意味では初期は素に近いのかも。他の人と一緒にやっていくうちに自然と『りょしばきだったらこう言いそう』ってのができあがってきました。」

 

れな「私は素っぽいツイートってのはほとんどりょしばきではしてないです。ツイートも全部嘘ですし。」

 

ヒロ「まあそうでしょうね…。中の人がみんな素でツイートし始めたらカオスでしょうね。」

 

れな「私のツイートに関しては、年齢がよくわかんない感じにしたいってのはあります。ヒロさんとかはたぶん普通にだいたいの年齢をがっつり表現してしまっているように思いますけど。」

 

ヒロ「元ネタがある話とか、話題の内容で世代が決まってきちゃうじゃないですか。たとえば聖闘士星矢っていう昔流行った漫画のことをツイートしたら世代がばれちゃうわけですけど、世代がバレないように聖闘士星矢のツイートを我慢するっていうのは嫌なんですよ。だから読み手には世代は伝わっちゃっていると思いますね。」

 

れな「リアルな体験としてバックグラウンドを見せる必要があるならそれでいいんだと思いますよ。私のツイートの場合、基本嘘だし、読んでいる人も嘘だと気づいているはずなんで、世代を隠すことが我慢に繋がるみたいな状況はあまりありません。」

 

ヒロ「これから赤い怪獣はどうなっていくんでしょうね。船長も航海士もいない船みたいなものだから…」

 

れな「漂流船…。いや、でもヒロさんが船長で、事務局が航海士みたいなものじゃないですか?」

 

ヒロ「いや俺が船長はないですよ。甲板の上で一番目立ってる変なヤツではあるかもしれません。あいつの声いつも聞こえるよなみたいな。あと事務局全然ナビゲートしてくれないじゃないですか。」

 

れな「完全なる放牧ですよね。ガイドラインはあるけど。」

 

ヒロ「なんかある日突然事務局がアカウント消したりとかありえますよね。俺たちに事前通報もなく。それで連絡も取れなくなって。」

 

れな「そしたら別の裏垢で同じようなことやると思います。」

 

ヒロ「そしたら二人で第二のりょしばきアカウント勝手にやったりとか。」

 

れな「いやー…もういいでしょう。終わったら終わったで。」

 

ヒロ「まあそうですね。でも終わったとしても、誰かの心の中に『あの時は赤い怪獣がいて、ツイート読むのが楽しかった』っていう記憶が残ったら、それだけですごく嬉しいと思います。」

 

れな「そうなったらありがたいですね。」

 

ヒロ「それじゃ今日はありがとうございました!声だけですけど、れなさんとお話できて楽しかったです。」

 

れな「いえ、こちらこそありがとうございました。たぶん中の人同士はあまりお互いの事を知らない方がいいんだとは思うんですけど、でもいろいろ興味深かったです。引き続きお世話になりますが宜しくお願いします。」

 

ヒロ「こちらこそ宜しくお願いします!御迷惑をおかけしないようにやっていきますね。適当に。」

 

れな「はい。適当にやりましょう。」

 

(おわり)