性欲落語「尻談義」
世の中には変わったこだわりを持った人ってのがいるもんでね。
しかし、
長屋の八つぁんと熊さんが、女の魅力について話してた。
「よう、熊さんよぉ」
「なんだい」
「世の中にゃあ女の乳にばっかりこだわる奴がいるけどよ。
「ほうそうかい。するってえと、
「俺に言わせりゃよ、女は尻!これだよ。」
「尻か!」
「そう、尻だよ!尻こそが女の華ってもんよ。
「ちげぇよ…」
「じゃどうしたんだよ?」
「よくぞ言ってくれたよ!!!」
「なんだなんだうるせえな!デケえ声出すなよー。」
「俺も同じだよ!女は尻だよな!」
「なんだ、てっきり怒らしちまったかと思ってヒヤリとしたぜ。
「わかるどころじゃねぇ、
「泣くなよこんな事で!」
「女は尻だ。イヤ、なんなら、
「それは言い過ぎだろ!でもよ、
「…オメェ何言ってんだ?」
「え?」
「見るところはそこじゃねぇだろ?女の尻で一番大事なのは、
「尻と太ももの境目?それじゃあもう尻じゃねぇじゃねぇか。」
「馬鹿野郎!尻が終わって、クイっと丸まって、
「なんで羊羹が出てくんだよ、落ち着けよ!
「オメェは本当に馬鹿だな!
「太ももの前日談の意味がわからねぇよ。
「妙じゃねえよ!」
「なんだいなんだいさっきから~
「おぉ、隣の与太郎じゃねぇか!いい所に来た、ちょっとコッチ来い!
「見どころ?」
「おう!」
「う~ん…」
「どうなんだ…答えてみろ…」
「尻…かな~」
「ホッ…よかった!どうなる事かと思ったぜ!」
「まったくだ!胸とか答えやがったら蹴殺すところだったぜ!」
「そこまでするかい~?」
「それでよ、本題はこっからだ。おめぇ、
「尻のどこか?」
「おぉ、あんだろ?こう丸みを帯びた…」
「導くんじゃねぇよ!与太郎の本音を聞こうじゃねぇか。」
「う~ん、やっぱり、こう、緩やかな丸みがいいよね~」
「だよな!だよな!」
「だろ~?腰のくびれから両側にふっくらと膨らんでさぁ」
「は?両側?」
「うん」
「オメェまさか尻の左右の横っ面の話してんのか?」
「そうだよ~」
「てめぇ表出ろ!!」
「く、苦しい~!」
「やめろよ!まぁでもよ、まさか尻の横っかわを見てる男がいるなんて思いもしなかったぜ。」
「ゲホゲホ…そんなに珍しいかな~?」
「こりゃあ天下の一大事だぜ。こんなに女の尻が素晴らしいってのに、ちゃんと尻の良さを味わえてねぇ奴がこんなにいるたぁ驚きよ。」
「そいつぁこっちのセリフだぜ!」
「まあまあ~。そういう事なら、こういうのはどうだい?ご隠居に、どの部分が尻の醍醐味なのかきいてみるってのは。」
「ご隠居か。うーん、確かに無駄に長生きして、世の中の事よく知ってるからなぁ。」
「あぁ、俺たちよりよっぽど多くの尻を見てきてるご隠居が言うなら、合点がいくかもしれねぇ。」
「決まりだ。早速いってみよう~」
スタスタスタ…
トントン
「ご隠居さーん!」
「おぉ、八っあんに熊さんに与太郎かい。どうした雁首そろえて珍しい?」
「いやね、ご隠居さん物知りだろ?一つ訊きてぇことがあって。」
「そうかい。まあ、本好きだからね、古今東西の書物を繙いてきたつもりだよ。言ってごらん。」
「女の体で一番グッとくるのは尻だよな?!」
「…なんなんだその質問は!大の男が3人来てわざわざそんな事ききに来たのかい?まったく、古今東西の書物を~とか言った自分が恥ずかしいよ。」
「ご隠居さん、そうだろう?尻だよな?」
「ううむ、まぁ、わからんではないな。」
「だろ!?そこまでは江戸の常識だと思うんだ。」
「いや違うだろ…」
「でも、尻とひとくちに言っても、女の尻のどの部分が尻の醍醐味だと思う?俺たち話し合ったんだけどよ、意見が割れててさ。」
「そりゃ割れるだろ。尻の話なんだから。」
…。
おめこがよろしいようで…